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トルコで遺跡発掘調査、30年余の歩みを一冊に

大村幸弘さん、三笠宮さまとの思い出も

 トルコのアナトリア高原で1986年から発掘調査を手がけ、世界最古とされる鋼(はがね)などを発見してきた中近東文化センターアナトリア考古学研究所所長の大村幸弘さん(71)が、30年余を振り返った『アナトリアの風 考古学と国際貢献』(リトン)を出版した。
 大村さんはトルコ中部のカマン・カレホユックという遺跡で、前期青銅器時代~ヒッタイト帝国時代の発掘を続けてきた。2009年には現地に研究所を、10年には博物館を建設。17年には、考古学者だった故・三笠宮崇仁(たかひと)殿下の名を冠した「三笠宮記念財団」も設立した。
 著書では、後に発掘調査団の中心となるトルコ人の発掘作業員ムスタファ・アービさんや、その弟のメフメットさんとの出会い、崇仁殿下や息子の故・寛仁(ともひと)殿下との思い出などが、調査や研究の成果を交えながら語られる。
 全編を通じて感じるのは、地元に根を張り、現地の人たちと一緒に調査を続けていくことの大切さだ。「ナショナリズムの台頭で、トルコ国内にも、外国の調査隊には発掘をさせるべきではないとの意見が増えてきている。ただ成果を奪っていくだけではだめなんです」と大村さん。
 調査団では毎年、「フィールドコース」を主催し、トルコをはじめ、世界中から発掘などを学ぶ学生を受け入れる。博物館を訪れる子供たちも急増中だ。「ベースキャンプ付設の日本庭園は、結婚式の写真撮影の名所になりました。いつかこの現場から、トルコの考古学を担う研究者が巣立ってくれれば」(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2018年7月4日掲載