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真面目で真摯なビールに似合う、真面目で真摯なボトルデザイン

文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第46回「ベアードタップルーム 高田馬場」(東京・高田馬場)

 べアードビールのファンは多い。もちろん私もそのひとりだ。

 べアードビールは、哲学、忠誠、誠実さ、刺激、幸福、日本という6つの基本要素から構成されている。この件に関しては、べアードビールのオフィシャルサイトに詳しく解説されているので、そちらに譲るとして(是非ともご覧いただきたい)、私の印象は「この醸造所は真面目。真剣。真摯に取り組んでるなぁ」といったものである。今風に言うと「ボーッと生きてんじゃねーよ」の正反対なのだ(笑)。

 べアード・ブルーイング・カンパニーはブライアン・べアードと妻のさゆりさんが1997年にアメリカでビール醸造を学んだのち、2000年に沼津で創業。2001年には免許を取得し、沼津の漁港の目の前で醸造を始めた。私の知る限り、当時“日本で最も小さい醸造所”だった。
 私が、ブライアンとさゆりさんのご夫婦に初めてお目にかかったのはその頃で、私はブライアンから「ボトルのラベルのデザインをしてくれないか?」と頼まれた。それはとても光栄なことだったが、私はそのオファーを断った。

 今でもたまにブライアンは「あの時、私の頼みを断ったよねぇ〜」と冗談めかして言うことがあるが、なぜ断ったかというと(これは長く絵を描いてきた人間の勘といえばいいのか)、「自分以上に、べアードビールの世界観を上手く表現できる描き手がいるに違いない」と思ったからだ。私のようにボーッと生きているのではなく、真面目で真摯な作家がいるはずだと。

 実際、のちにべアードビールのラベルを見た時、「これこれ!この作風!」と膝を打ったものだ。木版画のタッチを活かした西田栄子さんのデザインは、その後もべアードビールの顔として続いている。西田さんでよかったんだよ、ブライアン(笑)。

 2010年のワールドビアカップも忘れがたい思い出である。ワールドビアカップは2年に1度おこなわれる世界最大のビアコンペティションで、2010年はアメリカのシカゴで開催され、私も審査員のひとりとして参加していた。

 この大会でべアードビールは「沼津ラガー」がアメリカンスタイルアンバーラガー部門、「セゾンさゆり」がベルジャン・アンド・フレンチスタイルエール部門、「カントリーガールかぼちゃエール」がスペシャリティビール部門で、それぞれ金賞を受賞した。
 同じ大会で金メダルを3つも取った日本のブルワリーは後にも先にもべアードビールだけである。

 2014年、べアードビールの醸造所は沼津から修善寺に移った。単に醸造所が拡張されただけでなく、狩野川のほとりに広がる素晴らしい場所でべアードビールは造られることとなった。タップルームではべアードビールが堪能でき、併設されたキャンプサイトやキャンピングカーサイトで宿泊もできる。

 修善寺といえば、数多くの小説や随筆の舞台になっているが、やはり有名なのは川端康成の『伊豆の踊り子』だ。
 修善寺の醸造所でビールをたらふく飲んだのちキャンプして、湯ヶ島温泉までのルートを文学散歩するのも乙な旅である。

 直営店「ベアードタップルーム」も人気が高い。修善寺のブルワリー内の「ブルワリーガーデン」以外にも、沼津、中目黒、原宿、横浜馬車道、高田馬場にある。2019年5月には吉祥寺店もオープンすると聞いている。さらには、系列店が長野県白馬村、ロスアンゼルス・カルバーシティにあるとのことだ。

 中目黒店はピザ、馬車道店はBBQ、原宿は焼き鳥といった具合に各店でフードメニューが異なるのも面白い。私の場合、串カツがメインの高田馬場店に足を運ぶことが多い。関西人ですからね。串カツ好きなんです。スタウトで煮込んだ角煮とスタウトを絡めた枝豆も気に入っている。
 そして、なんと言ってもタップルームといえば“のんべえはしご券”だ。10杯分の金額で12杯飲めるお得な券である。各エリアならば他のタップルームでも使えるのが嬉しい限りだ。

 のんべえはしご券、この1杯でスタンプ欄がいっぱいだ。
 もちろん、新たにもう1枚買いますよ。12杯なんてあっという間だもん。
 はじめに言った通り、私、べアードビールの大ファンですから。

 高田馬場の「ベアードタップルーム 高田馬場」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。