1. HOME
  2. コラム
  3. 図鑑の中の小宇宙
  4. 趣ある江戸のボタニカルアート 「美し、をかし、和名由来の江戸花図鑑」

趣ある江戸のボタニカルアート 「美し、をかし、和名由来の江戸花図鑑」

 去る5月18日は「国際植物の日」。世界の人たちとともに植物の大切さを考える日だそうです。そこで、今回紹介したいのが「美し、をかし、和名由来の江戸花図鑑」。

 本書のもととなるのは、江戸後期に刊行された日本初の彩色植物図鑑「本草図譜」。本草学者の岩崎灌園(かんえん)が約2000種の植物を写生・彩色し、本草学者だけでなく大名から植木職人まで幅広い階層の人々に取材してまとめたものです。制作には二十年以上かかったといいます。

 そんな全96巻に及ぶ超大作「本草図譜」から、本書では96点の植物を厳選。和名の由来や日本に伝来した際のエピソード、薬としての使われ方、植物が登場する詩歌や花言葉など、日本人と植物との関係性がうかがえる情報とともに収録されています。

 例えば、これからの季節に楽しめるアジサイ。語源には諸説あるそうですが、小さな藍色の花が集まっていることから、藍色が集まったものを意味する「集真藍」に由来するという説が有力だそう。また、花の色が変化することから、移ろいやすい女心にも例えられるんだとか。やはり「名は体を表す」ようです。昔の人々の発想力の豊かさや名付けのセンスもうかがい知れます。

 植物は春夏秋冬に分類されて掲載されているので、季節の移ろいに合わせて眺めれば、より一層、日本の四季を身近に感じることができそうです。